場所:群馬県館林市城町
開館時間:9:00~17:00
入館料:無料
アクセス:館林駅からバスで「子ども科学館前」下車すぐ。館林駅から徒歩約25分。
【解説】
城沼公園を望む場所に、市内の歴史的建造物2棟を移築してできた資料館。
冒頭の写真は旧上毛モスリン事務所棟。明治41年から43年(1908~1910)にかけて建てられた擬洋風建築で、市役所建設に伴い昭和54年(1979)にこの場所に曳家されたという。上毛モスリンは明治期に設立された織物会社であるが、第一次大戦や関東大震災のあおりをうけ大正末年に倒産。以後、工場は中島飛行機や神戸生絲などの所有を経て、平成5年(1993)に解体された。この時まで、レンガ造りの大規模な工場棟や、木造の食堂棟など明治期の洋風建築が多く残されていたようである。
もう一棟の建物は作家・田山花袋(1871~1930)の旧居である。田山家は秋元藩士の家で、この建物も茅葺平屋の武家屋敷である。花袋自身は館林の出身だが、幼少時に一時上京。しかし、父が西南戦争で戦死したために、明治11年(1878)に館林に戻ってから、再び上京する明治19年(1886)までをこの家で過ごしたという。この間の花袋の年齢は5歳~14歳であり、学校の友人と漢詩などを作っていたようだ。
【訪問記】
2022年秋の平日、館林駅から徒歩で訪問。訪問客は私の他に1人であった。
上毛モスリン事務所は端正な建築。事務室の仕切りが復元されていて、往時を偲ぶことができる。休憩できる場所もあり、窓からは紅葉した木々が見られて、ゆっくりとできた。
田山花袋旧宅は、内部に入っての見学は不可能。ただし、玄関土間には立ち入り可能で、ここから少年花袋の勉強した四畳間も見ることができる。室内には手机や硯箱、箪笥など、田山家で使われていたと思われるものが並ぶ。
【余談】
10分ほど歩くと、花袋の旧宅があった跡地に着く。礎石が残っており、公園化されている。建物を現地保存しても良かったと思うのだが、田山花袋記念文学館や城沼なども含めた公園として集約したかったのだろう。
第一資料館は、普通の郷土資料館のようである。未訪。
名所評価(★は5が最高)
面白さ:★★★
・展示が充実しているというわけではないが、コンパクトな屋外資料館として楽しめる。
再訪度:★★
・城沼近辺は景勝地であり、この近辺の散策がてら、休憩もできる。
快適さ:★★★
・ゆっくりと休憩できる。
アクセス:★★
・池袋から館林駅までは1時間半程度。市役所の辺りなので、駅からバスも発着している。
周辺スポット:★★★★
・花袋の文学館、城沼、秋元家別邸、館林城址などの見どころが、コンパクトに集まっている。
個人的満足度:★★★★★
・花袋の作品も、近代建築も好きな私には必見の場所であった。
田山花袋旧居
花袋旧居屋内
田山花袋旧居平面図(旧居跡地の説明版より)
上毛モスリン事務所1階
上毛モスリン事務所2階
上毛モスリン事務所2階
展示されている馬車
上毛モスリン事務所外観
上毛モスリン事務所階段
上毛モスリン事務所外観(金庫)