場所:東京都中野区松が丘
開園時間:8:00~18:00(3月~9月)
入園料:無料
アクセス:新井薬師駅より徒歩10分、落合南長崎駅より徒歩15分
【説明】
東洋大学創立者・井上円了により明治37年(1904)に創設された、哲学教育等を目的とした公園。
妙正寺川沿いの和田山一帯に、四聖堂や六賢台・宇宙館などの奇抜な堂宇、唯物園・唯心庭などの庭園が配置され、円了の思想を体現している。
円了の死後、公園は所有者の変遷を経て、現在は中野区が管理している。2020年に国指定名勝となった。
【訪問記】
2025年冬、新井薬師駅から徒歩で訪問。土曜ということで、そこそこの訪問者がいた。
入園してまず目につくのは「七十七場巡り」のマップ。円了は園内の堂宇だけでなく、庭園や道、石造物などあわせて77の場所に名と意味を与えたのだ。もっとも、中にはわかりにくい場所も多いので、すべて回りたい人は管理事務所2階でマップ(220円)を購入すると良い。
園内の中心となるのは、時空岡という崖上の広場。ここを、朱塗りの塔である六賢台、孔子・釈迦・カント・ソクラテスを祀った四聖堂、講義室である宇宙館、陳列所である無尽蔵、図書館である絶対城などの建物が囲む。広場へ入る哲理門は、仁王の代わりに天狗像・女幽霊像が安置されている。他に類を見ない奇抜な景観である。建物内部の特別公開も積極的に行われている(後述)。
妙正寺川沿いの低地には建物こそないが小さな池などがあり、対岸にはハンガリーの彫刻家によって2009年に寄贈された「哲学の庭」がある。ここも東西の思想家や宗教者らの像が並ぶ異様な空間である。
このように文章で表現するとおどろおどろしいが、公園自体は閑静で、明るさもある。哲学堂の周囲には野球場やテニスコートがあり、子供たちの声が響く。園内は散歩する人が絶えない。管理事務所は古びているが、1階には休憩スペースもあってゆっくりと見学できる。
【余談】
この一帯は和田山と言い、和田義盛の居館跡であったとされるが事実ではないだろう。地形由来の地名「和田」が先にあり、そこから伝説が発祥したと思われる。付近では戸山公園(新宿区)に類似の伝説が残る。
名所評価
面白さ:★★★★
・公園自体は中規模だが、ユニークでゆっくり楽しめる。
再訪度:★★★★
快適さ:★★★
・日当たりが良い。少しくたびれているが管理事務所棟があり、屋内休憩可能。
アクセス:★★★★★
・最寄りの新井薬師駅は西武新宿駅から10分。
周辺スポット:★★★
・独特な形の井上円了墓(蓮華寺)や、旧野方配水塔は近く。新井薬師駅南口方面には昔ながらの商店街が続く。落合南長崎駅はトキワ荘ミュージアム最寄り。
個人的満足度:★★★★
建物内部特別公開情報(2025年の予定。訪問時は公式HPの確認必須)
月例公開:第一日曜日(10~15時)
春季公開:4/29~5/5(年によって変動)(9~17時)
秋季公開:10月の土日祝日(9~16時)
妙正寺川沿いに位置する
哲理門
哲理門の天狗像(模造)
哲理門の幽霊像(模造)
四聖堂
園内最古で中心となる建物
宇宙館(講義所)
絶対城(図書館)
屋上の眺望施設(観望台)が復元されている
無尽蔵(陳列所)
六賢台
三学亭
平田篤胤、林羅山、釈凝然を祀る
鬼神窟・霊明閣
理想橋
唯心庭
哲学の庭
神秘洞
常識門
狸灯
開いた腹の中に灯篭が仕込んであったという
二元衢
唯物園と唯心庭の岐路
公園管理所
管理所1階 休憩スペース
絶対城内部
2015年の特別公開時に撮影
六賢台内部
2015年の特別公開時に撮影
無尽蔵のシビ
六賢台の鬼瓦
宇宙館の烏帽子瓦
おまけ:井上円了墓(蓮華寺境内)
遺言により、「井桁の上に円」の形をした墓石となっている