【解説】
文治3年(1187)、新田義貞が建てた六角堂が起源と伝わる曹源寺。幾度か火災にあい、現在はさざえ堂のみが現存している。
さざえ堂とは、堂内が一方通行の回廊式になっており、堂内に安置された仏像を巡礼できるようになっている仏堂である。江戸時代後期から建てられるようになったもので、曹源寺のものは寛政5年(1793)の建立。現存するさざえ堂としては最大のものであり、高さは16.8m。堂内には秩父、坂東、西国の計100札所の観音菩薩を模した観音像や、聖徳太子像などが安置されている。
【訪問記】
2024年夏の平日、韮川駅から徒歩で訪問。私の他に訪問客は一組。堂内は撮影禁止であった。ネットの情報を見ると、かつては撮影できたようだが...
さざえ堂というと会津若松にある螺旋状のものが有名だが、ここは純粋な3階建てであり、階段を登って行き来する。イメージとしては城の天守に近い。しかし、階段が2つあり導線が区分されていること、太鼓橋やスロープ状の廊下があることなど、さざえ堂としての特徴を持つ。
また、堂内には1mほどの観音像が並んでおり、それぞれ三十三か所霊場の札所寺院と対応している。観音像の上には、その札所寺院の絵が描かれる。観音像は昭和初期に彩色されたようである。他にも聖徳太子や小鬼を従える地蔵、びんずるなどの像が安置されている。壁には江戸時代のものと思われる落書きも多く、中には武士や胸もあらわな女性の姿を滑稽に描いたものもあり楽しい。3層には高欄がめぐらされているが、劣化しており立ち入ることはできない。
【余談】
韮川駅前にコンビニはない。昔ながらの小売店「大関商店」が営業しており、冷えた飲み物などを買えるので立ち寄りたい。
また、訪問前に必ず公式HPで拝観可能かをチェックすること。
名所評価(★は5が最高)
面白さ:★★★★
・会津のさざえ堂ほどの奇抜さはないものの、非常に面白い造り。実際に拝観して分かることが多い。
再訪度:★★★
・なぜかもう一度見てみたいと思わせるものがある。
快適さ:★★★
・クーラーなどは効いていないはずだが、真夏でもあまり暑くなかった。
アクセス:★
・駅徒歩30分程度であるが、バスはなく、韮川を発着する電車も少なく、心理的に不便である。列車で2駅の足利には見どころが多い。
周辺スポット:★
・地図上では1時間ほど歩けば金山城跡へ行けるらしいが本当だろうか?。周辺はのどかな田舎。
個人的満足度:★★★★
・さざえ堂全般に言えることだが、写真で見ることと、実際に拝観する体験とでは大きな違いがある。ここを訪れるためだけでも、韮川駅で降りる価値はある。
正面から見たさざえ堂
3層からの景色
3層から見た境内