場所:東京都世田谷区豪徳寺(世田谷城址公園)
アクセス:東急世田谷線宮の坂駅・上町駅から徒歩5分。小田急豪徳寺駅から徒歩約15分。
【解説】
南北朝時代から世田谷に所領を有していた吉良氏の居城跡。古くから吉良氏の居館がこの地にあったとされるが、築城年は諸説ある。一説には室町時代後期の当主・吉良成高の頃であるという。吉良氏は、勢力の面では世田谷郷と蒔田郷(神奈川県横浜市)のみを所領とする小規模領主だったが、足利家の流れをくむ名家であり、儀礼面では重要な位置を占めた。戦国時代は当初扇谷上杉氏に与するも、北条氏に世田谷城を攻略される。その後は北条氏に属したが、秀吉の小田原城攻略により世田谷城も廃城となったという。
城郭は川沿いの台地上に位置する。現在城址公園となっているのは城郭の端の部分にあたったと思われ、本丸は豪徳寺境内にあったともいう。公園内外に土塁や空堀が現存しているが、公園外のものは私有地にあり見学できない場所もある。
【訪問記】
2022年冬の平日、豪徳寺駅から徒歩で訪問。
公園化された部分には郭や堀がわかりやすい形で残るが、ここは城郭の一部分にすぎなかったようである。付近の住宅街にも土塁が残り、豪徳寺参道などからうかがえる。しかし、城内のほとんどが宅地化された現在は、訪問しても城郭の全容を想像することは容易ではない。
【余談】
23区内には中世、練馬城や平塚城、中野城山、牛込城、葛西城など多くの城館があった。しかし、江戸時代以降の開発によりほとんどは破壊され、場所が不明となったり、存在や築城経緯に疑義が抱かれているものも多い。その中で、現在も明確に中世城館の遺構が残っているのは、世田谷城の他に奥沢城(世田谷区)、石神井城(練馬区)くらいだろうか。かなり稀少な存在である。
名所評価(★は5が最高)
面白さ:★★
城跡と言っても、石垣や建物など分かりやすい遺構がある訳ではない。
再訪度:★★
城郭の全体像を文献で把握してから訪問すると、見え方が違うかもしれない。
快適さ:★★
平凡な公園である。遺構は散在しているが、これについて現地解説はなかった。
アクセス:★★★★
周辺スポット:★★★★
名刹・豪徳寺はすぐ近くにある。国士舘大、松陰神社も近い。
個人的満足度:★★★
23区内に城郭遺構が残っているというだけで、奇跡的に思える。
説明板
郭の一部?
豪徳寺付近には土塁が見受けられる
豪徳寺参道に沿ってみられる土塁
説明板
遺構図