場所:千葉県鴨川市太海浜
渡船営業時間:9:00~16:00
観覧料(渡船代含む):1350円
アクセス:太海駅から徒歩約12分(渡船場まで)
【解説】
太海浜のすぐ前に浮かぶ小島。伝説によるとこの島を初めて所有した初代・平野仁右衛門は、石橋山の戦いに敗れた源頼朝をこの島にかくまったために島一帯の漁業権などを与えられたという。以後現代にいたるまで、この島には平野家一戸のみが居住している。
島は風光明媚で知られ、平野家の住居含めほぼ全域が公開されている。中でも源頼朝の隠れ穴、日蓮上人の霊地とされる神楽岩がとくに有名。岩場も多く、海遊びも可能である。
【訪問記】
2025年春、祖父と太海駅から訪問。私たちの他に、訪問客は3組ほど。この時期は来島者よりも釣り人の方が多いようだ。
渡船は太海浜から随時出発。訪問時は手漕ぎ船と小型モーター船が稼働していた。行きは2人の男性が漕ぐ船にのり、揺られながらに数分で島に着く。漕ぎ手のおじさんは話好きだ。観覧料は上陸後、休憩所入口で支払う。
島には順路の標識があり、迷うことはない。所々に展望所がおかれており、外房のカーブを描く優美な海岸線や、太海浜の漁村風景、太平洋の水平線上に浮かぶタンカーなど景色に飽きることが無い。
島の頂上辺りには江戸時代に建てられたという平野家の住居がある。平凡な家に見えるが、この島を代々守ってきた一家のことを思うと見え方も違う。庭には南国風の樹木が生える。
有名な源頼朝のかくれあなや、神楽岩は島の南端辺りにある。このあたりも景色が良く、岩礁も良く見え、遠くには和田浦の方が見渡せる。この島にも広い岩場があり、休憩所には脱衣場もあるから夏場には海遊びもできるのだろう。
再び休憩所へ戻り、受付の方に祖父と私の記念写真の撮影を頼む。帰りの船も呼んでいただいた。帰りはモーター船で、手漕ぎ船よりかなり早く1分程度で太海浜に着く。島内一周に要した時間は一時間程度。のどかな景勝地であった。
【余談】
私の祖父は幼いころから外房の風景を愛し、小さな別邸を買うほどであった。しかし今や我が家の財政も傾き、祖父は足が弱ったために別邸も二束三文で売却することになったのだ。今回の訪問は、その別邸売却と私の大学卒業を目前にしたものだった。
太海浜の景観や島の名物を見ながら、今まで自分のことを語りたがらなかった祖父から青春の思い出の断片を聞くとき、穏やかな仁右衛門島と外房の海岸、そして淡い太平洋はどんな風景よりも切なく、美しく見えた。
名所評価
面白さ:★★★★
・島は小さいが、渡船含めて旅情をかき立てられる名所である。
再訪度:★★★★★
快適さ:★★★
・土地柄か穏やかな人々が多く、温かく迎えてもらえる。トイレなどの設備は古め。船が小さいので人によっては乗船・下船に怖さを感じるかもしれない。
アクセス:★★
・駅からは遠くないが、太海駅は電車が一時間に一本のみで不便。
周辺スポット:★★★
・太海浜の漁村風景も有名。太海フラワーパークはほぼ閉業し、釣り堀のみ残る。鴨川松島も太海駅から徒歩圏内。
個人的満足度:★★★★★
・祖父との思い出も入ってではあるが、★は今まで紹介した中で最も高くつけたい。いつまでもこの日の訪問は記憶に残るだろう。
渡船場から見た仁右衛門島
渡船からの風景(帰路撮影)
渡船(モーター船)
島入り口(休憩所)
島内図
展望所
島北側展望所から太海浜を眺める
休憩所方面の眺め
島主(平野仁右衛門)住居入口門
島主住居
島主住居前庭
ベンチ
日蓮伝説の残る神楽岩
源頼朝かくれ穴
かくれ穴内部
かくれ穴周辺の風景
南側展望所からの風景
島の海岸沿いには岩場が広がる
休憩所にはかつて食堂が併設されていたようだ
現在は一階で少しばかりの土産が販売されている
脱衣所
「全嶋平野仁右衛門取〇」
弁財天祠