場所:埼玉県川口市末広
開館時間:9:30~16:30 月曜休館
入館料:210円
アクセス:川口元郷駅徒歩2分。川口駅からバスで「末広一丁目」下車すぐ。川口駅から徒歩約20分。
注意:令和7年(2025)1月より改修工事のため当分休館
【解説】
味噌醸造業で財を成し、貴族院議員も務めた4代目田中徳兵衛(1875~1947)が、大正12年(1923)に建てた邸宅。平成17年(2005)に川口市が取得し、現在は一般公開されている。
現在は3階建ての洋館、2階建ての和館、文庫蔵が保存されているが、かつては味噌蔵なども有していた。
【訪問記】
2024年秋の平日、川口駅から徒歩で訪問。訪問客は私の他に2組だった。
建物玄関には受付や管理人の姿はなく、券売機でチケットを購入して自由に見学する仕組み。ただ、私がチケットを買い終わると、どこからともなくスタッフの方が現れ、簡単な説明をしていただいた。
洋館は外観もシックで端正だが、内部はより装飾も多く優美で驚かされる。イオニア式の柱や、ロココ調の豪華な椅子で装飾された3階大広間はその最たるもので、名族の生活が偲ばれる。
しかし、この建物の見どころは豪華な装飾だけではない。和洋の部屋が入り組んで配置され、外観からは想像もつかない複雑さを持っていることも魅力だ。例えば、洋館の西側の一部は3階建ての蔵となっているし、洋風の大広間の真下は純粋な和室になっている。玄関は和風、1階応接室は洋室(天井は和風)、階段は洋風。2階には洋風の書斎・バルコニーと和風の座敷があり、3階にはジョージアン様式の大広間。これとは別に和館が付属しており、見る者を飽きさせない。
邸宅敷地はかつてより狭くなっているが、庭園が残る。庭園内にある茶室は昭和48年(1973)に建てられたものだが、元あった味噌蔵の部材も使用したという。こちらも建物に入って見学できた。
文章だけではなかなか伝わり難いと思うが、見る人を飽きさせない、趣向の凝らされた建物であった。
【余談】
現在見学はできないが、男女別に使用人の部屋があり、彼らが壁に貼った女優のポスターなども残っているという。また、女中部屋は専用の階段で行き来できるが、男性使用人部屋は梯子で行き来しなければならなかったようだ。
名所評価(★は5が最高)
面白さ:★★★★
・邸宅の敷地はコンパクトだが、見ていて非常に楽しめる。
再訪度:★★★★
・建物の細部もこだわられていて、見るたびに発見がありそうだ。
快適さ:★★★
・混雑はしておらず、ゆっくり見学できる。ただ、家具が当時からのもののため座れる場所は少ない。
アクセス:★★★★★
・川口元郷駅からはすぐ。しかし、乗り入れる埼玉高速鉄道は運賃が高い。
周辺スポット:★★★
・付近に目だった観光地は無いが、付近には戦前以来の建物が多く残る場所がある。
個人的満足度:★★★★★
・写真や文章では伝わらない、美しさや面白さがあった。
道路から見た外観
かつての邸宅。周りを囲む味噌蔵などは現存しない。
玄関
外観
応接室
1階裏玄関
3階からの景色
3階大広間
3階大広間
3階の蔵入口
暗い内部。洋館だが和風の木組。
階段
洋館2階
和館
和館階段
庭への出入り口
茶室
茶室内部