場所:神奈川県中郡大磯町西大磯
開園時間:9:00~16:00(最終入園時間)
入園料:無料
アクセス:大磯駅より徒歩15分
【解説】
明治150年記念事業の一環として国により整備が進められている公園。
旧大隈重信別邸、旧古賀別邸聴漁荘(陸奥宗光別邸跡地)、旧李王家別邸(伊藤博文邸跡地)、旧池田成彬邸(西園寺公望別邸跡地)の計4つの別荘建築および庭園をまとまった公園として整備し、2025年度中の全面開園を目指す。2024年11月に、大隈別邸および古河別邸部分が暫定開園した。
旧大隈重信別邸は、明治30年(1897)に重信が取得・改築した建物。もっとも重信が使用した期間は短く、明治34年(1901)に古河家へと売却された。明治百五十年事業として整備されるこの公園だが、明治の元勲が実際に時間を過ごした建物が残るのはここだけで、あとは跡地である。
もう一棟の、陸奥宗光別邸跡地に建つ旧古河別邸「聴漁荘」は、昭和5年(1930)に建てられ、迎賓館として使用された建物である。古河家は明治期より古河財閥として栄えた家であるが、その初代・古河市兵衛は陸奥宗光の二男を養子に迎えていたために、宗光邸を取得したのであった。
【訪問記】
2025年春訪問。訪問客は私の他に5~10組ほどか。広大な敷地ゆえ、空いている印象を受ける。
東海道松並木の続く道にある門から入園すると、左手に立派なインフォメーションセンターがある。入園料は無料であり立ち寄る必要もないが挨拶をしに行くと、建物内には6~7人ほどの事務員でみっしりとしていて驚いた。園内には庭師も10人程おり、潤沢な予算が投じられているようだ。
インフォメーションセンターでパンフレットを貰うと、旧大隈重信別邸を訪問。内部は驚くほどに綺麗に整備されている。広い縁側には、座り心地の良い籐椅子が並び、庭園を眺めながらゆっくりと休むことができる。屋内展示解説は建築を主軸に必要十分な量。驚いたのは建物模型で、ボタンを押すと屋根部分が持ち上がり、屋内を覗くことができた。
次に旧古河別邸聴漁荘へ。ここは陸奥宗光別邸跡ということが強調されているが、宗光邸は関東大震災で倒壊・移築され、現存する建物は昭和初期の迎賓館である。もっとも「明治記念」の趣旨上、陸奥宗光の展示が主だ。この建物の見どころは水回り。実用性と装飾性を兼ね備えた食堂や化粧室、風呂、化粧室が良好な状態で現存し公開されている。
このように建物展示については充実しているが、庭園部分はまだ整備が終わっていないようだ。日本庭園は枯山水でもないようだがまだ水が流れていない、また、大磯は海沿いの別荘地として知られる場所だが、敷地内から海が見える場所は限られる。その数少ない一つである庭園隅の高台からも、木々や西湘バイパスが邪魔してオーシャンビューは微妙だ。
暫定開園エリアを見終わると、整備が進む李王家・池田成彬邸エリアを覗く。邸宅は高台にあるので、工事の進捗はすぐにわかるが、2025年度中の全面開園は難しそうであった。
【余談】
関東大震災で倒壊した陸奥宗光別邸は、古河家により足尾に移築されたが現存していない。
名所評価
面白さ:★★★★
再訪度:★★★★★
・全面開園が楽しみ
快適さ:★★★★★
・縁側の藤椅子にゆったりと座って庭を見ていれば、いつまでも時間を過ごせる。冷暖房や綺麗なトイレも完備。
アクセス:★★★
・大磯は東京からのアクセスの良さもあって、古くから別荘地として栄えたのであろう。
周辺スポット:★★★★
・別荘地として栄えた大磯。島崎藤村邸、吉田茂邸(再建)、鴨立庵は徒歩圏内。大磯海岸は町の南に延々と次ぐく。
個人的満足度:★★★★★
・明治維新顕彰に国がこれほど力を入れているとは知らなかった。暫定開園ではあるが、整備途上の状態を見る楽しみもある。
邸園入口。
江戸時代以来の東海道松並木に面する。
インフォメーションセンター
陸奥宗光・大隈重信のパネル
完成予想図
大隈別邸入口
大隈別邸外観
大隈別邸縁側
大隈別邸展示
大隈別邸展示
大隈別邸風呂
聴漁荘
聴漁荘模型
ボタンを押すと屋根が浮き上がる
縁側の椅子
浴室
海水浴後でも外から直接アクセスできる入口がある
化粧室
台所
トイレ
展示
庭園
庭園
庭園隅にある東屋
東屋付近からのオーシャンビュー
西湘バイパスや木々が邪魔する
園内トイレ
整備中の旧李王家別邸